選択
その子に罪はない

当たり前だ

そんな事はわかっている

なりたくてなったわけじゃ無いこともわかってる

その子がたまたま感染源になってしまった事も

だけどその子が私の子供を殺した

それも事実

その子がいなかったらしんでいなかったかも知れない
いや死ぬ事なんてなかった
私の子を死に追いやったのにのうのうと生きている

苦しみもせず!

許せないと思うのはおかしい?

人道的に考えたらおかしいだろう

わかってる!

逆恨みに近い感情だということは

わかってるけど!

思ってしまう

苦しめばいいのに

死ねばいいのに

由美が死んだんだから
その子も死ねばいいのに!

私の気持ちを察したのか
主人が私の手を握ってきた
「感染源の氏名についてですが・・」

萩野の言葉に私達は息を飲む

「もういいです!」

泣きながら叫んだのは隼人くんママだった

「いまさら・・誰が原因だとか・・どうでもいい!息子を・・私は隼人の遺体を返して欲しいだけなんです!!」

机に突っ伏した隼人くんママの肩を抱きながら隼人くんパパも口を開く

「その子の名前を聞いたところで・・悪意のない子に逆恨みしても隼人が帰って来るわけじゃない・・私達は遺体が帰ってこればいいんです!返してください!」

「わかりました・・後一日待って頂けますか?あちらで手続きを・・」

萩野はスーツの男に目で合図し隼人くんママ達はスーツの男に案内され部屋を出て行った


< 38 / 46 >

この作品をシェア

pagetop