選択
「あのね・・巧・・」

私は静かに話し出す

「巧は今病気なんだ・・だから・・」

巧のまっすぐ見つめる瞳に私は胸がつまった

「今は帰れないけども少ししたら帰れるからね・・パパも待ってるって・・だからいい子にして病気早く直そうね・・」


これが精一杯だ

正論では期待をさせ後で真実を知った時の落胆を考え最初から話してやったほうがいいのだろう

だけど・・

今は言えない・・

言えないよ!!

だって言える?

あなたは人に触れただけで人を殺してしまう病気で・・一生監禁される・・そしてその病気のせいで幼稚園のお友達が死んで実の父親に関わりたくないと捨てられたんだよ・・
なんて言えないよ!

この子に罪はないんだから!!


いつかは真実を知る日がくる

だけどその日まで嘘ついていたい


そう思ってしまう事は
間違っているだろうか・・


私と巧はまた同じ毎日の繰り返しで日々を過ごした

毎日の時間毎の採血
自由に動く事すらできない生活

巧は段々と元気をなくし生気を感じない

当たり前だ

大人でもおかしくなる

私も最近体調が悪い

死が迫っているのだろうか
感染してから発症するまでの時間は個人差があると言われたけど

私は後どれぐらい生きられるのだろうか

後どのくらい巧のそばにいてあげられるのだろうか


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