選択
「アレルギー体質は遺伝する確率が否定できず」

医者が続ける

「お母様と同じアレルギーとは考えにくいのですが何にしても特例もありえますので」

義理母と同じアレルギー?

「はっきりとは解剖を終えお子さんのアレルギー検査の結果をみてみないとなんとも言えませんが」

黙って話を聞いていた旦那が口を開いた

「解剖をお願いします
さっきは気が動転していて・・すいませんでした」

「あなた・・・」

「巧に関わりがあるかもしれない事なら・・母さんも許してくれるだろ・・」

「・・・」

死んでいるとはいえ自分の母親をあれこれ切り刻まれる
一度は解剖を勧めたがやはり現実となると躊躇してしまう
だけど巧に関わる事なら・・・
力無く笑う旦那に私は何もいえなかった

「ままぁ?」

救急からでてきたストレッチャーから巧の声が聞こえた

「巧!」

私は巧に走り寄り頭を撫でる

巧は頭を撫でるわたしの手を両手でぎゅっと握り返す
あぁ 本当によかった!

「アレルギーの検査結果が出るのに一日かかりますので今日はこのまま入院して頂いて明日検査結果がでてからまたお話しましょう」

「本当にありがとうございました!」

一日入院することになり
病室のベッドの上で私に甘えて来る巧

私は今まで時折我が儘をいう事もあるけれど我が子が笑顔で目の前にいる事が当たり前だと思っていた

そんな当たり前の事が さっきまではもう叶わないのかもしれないと思った瞬間気が狂いそうになった

本当によかった

もうあんな思いはしたくない
「ままぁ今日病院にお泊りだよねっ!?」

無邪気に喜ぶ巧を抱きしめる

「よかった・・・」

でも油断はできない
明日にならないとアレルギーの原因はわからない

また発作が起こったら・・
いや不安になったらダメだ
私が強くならなくては!

とりあえず明日・・

明日になれば・・・!


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