先見の巫女
そんな二人を引き裂いたのは災厄だった。
『…翠……ごめんね…』
『駄目です…行っては…』
翠は傷付いた体に鞭を打ち、必死に立ち上がろうとするが力が入らない。
『…わかってたの…
こうなる事も、こうしなければいけない事も…』
羽優は手を合わせ瞳を閉じた。
『…時を越え来たれ
東を守りし四神、
青龍の御霊…翡翠龍よ…』
翡翠の光が羽優を包み込む。
『羽優!!自分を犠牲にしないで下さい!!他に方法が!!』
『迷っている時間はそれだけ多くの死者を出すわ。
遠の昔から覚悟は出来ていた筈なのに……』
羽優には心残りがあった。それは…
『あなたと離れなければならない事が酷く悲しい…』
出来る事なら…
共に生きたかった……
でも…そのあなたを守れるなら私は…
『我を依りましとし降臨せよ!!』
命を賭けても構わない!!!
『羽優ーーーーっ!!!!!』
翠の声と同時に翡翠の光は弾け龍として黒闇龍と攻めぎ合う。
そして翡翠龍によって黒闇龍を京の大地の奥深くに封印された。
それが雛菊の前世で朱雀の前世でもある。