先見の巫女


「違う!!!」


黙り込んだあたし達の代わりに声を発したのは帝だった。


「………帝?」


家臣は今までに聞かせた事のない帝の大きな声に目を見開いた。


「我は…雛菊殿や晴明殿や朱雀…雀が好きなのだ!!」


突然の告白に目を見開く一同。


「だからっ…我はそんなみんなを…助けたいから…だからっ……」


必死に言葉を繋ぐ帝にあたしと晴明様は笑顔を浮かべた。


「…帝………」


名前を呼んで抱きしめてあげれば、帝は目を見開いた。


小さく幼い帝…
彼はこれから先沢山の人間達の汚い部分を見ながら育っていく…


これは先見では無く立場故の運命…






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