先見の巫女
《雛菊》


――――――――


…冷たい……
体から体温という全てが消え去っていくように…


自分から肉体が消えて、一つの魂だけになったのが分かる。


…あぁ……
あたしにはもう声も無いんだ…


でも……この闇が心地好い…
このままここで眠っていよう…


『我の傍にいれば良いのだ…』


黒闇龍……
そうだね…あなたといれば…
何も考えなくたっていいのだから…


………っ…
一瞬、あの未来が頭を過ぎる…


大丈夫…大丈夫……
あたしは関係無い…


関係無いんだから…


だからこのまま…
闇に委ねればいい…


『雛菊』


……朱雀……?
愛しい声が聞こえた気がした。


ありえない…
聞こえるはずなんて…ない。


そうして雛菊は黒闇龍の中で眠りについた。






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