先見の巫女
朱雀の青年
雨明けの朝、あたしは晴明様の式神と一緒に京の町で夕食の買い出しに来ていた。
「式神さん、重くない?」
式神はふるふると首を横に振った。式神は一見人と変わらない容姿だがやっぱり言葉は喋らない。
「晴明様は今日は帝の所かな」
帰りも遅くなるだろうし…。夕餉はあたしが作らないと…
そんな事を考えていた時…
チュン…チュン、チュン
朱い鳥が目の前を横切った。一瞬にして思考が停止する。
「朱い…鳥………?」
あたしはとっさにその朱い鳥を夢中で追いかけた。