先見の巫女
崩壊の足音
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「羽優…今日も祈りを捧げていたのですか?」
昇天の日が刻々と迫る中、黒闇龍の反対勢力は着々と京を脅かしていた。
翡翠龍は私が京に残る事を承諾してくれた。
この地に残り、護り手と共に京を護る使命と引き換えに…
あれから翠はあたしを羽優と呼ぶようになった。
翠は羽優に笑顔を向ける。
「えぇ。最近、気が不安定なの…
神達の神気が調和しきれていないわ…」
不安そうに遠くを見つめる羽優はため息をついた。
黒闇龍の影響だろう…
影響がここまで…
「少し休まれてはいかがです?あまり休まれていないと聞きました。無理をしては…」
心配そうに私を見る翠に私は笑顔を向けた。
「翠…私は大丈夫。それより、私は翠が心配よ。私の心配ばかりして…あなたこそ無理をしすぎよ!」
翠は四六時中私の傍で私の心も体も護ってくれている。
この世界で唯一、私が全てを許した人…
「私は無理など…
好きでやっている事です」
「…もう…翠ったら…
私を喜ばせるのが上手ね」
困ったように笑う羽優を翠は愛おしそうに抱きしめた。