先見の巫女
五ノ巻
繋がる記憶
あたしの知らない、彼等が来てから4日ばかりが経とうとしていた。
あの後、失ってしまったであろう記憶について話を聞き、信じられない思いでいっぱいだった。
翡翠龍…黒闇龍…災厄…
…両親に捨てられた事…
あたしが…巫女だった事…
全てが信じられない
信じたくない事実だった。
それを受け止めきれない。
重く重くのしかかってきて支えきれそうにない。
記憶…忘れたままのほうが幸せだったんじゃないか…
最近はそう思う事のほうが大きかった。
「雛菊」
『羽優』
名前を呼ばれ振り向くと、朱い髪の青年が立っていた。
『また祈りを捧げていたのですか?』
―ズキッ
「痛っ…な…に……?」
朱雀という青年が発した言葉じゃない。
じゃあ誰が………?