先見の巫女
『…羽優……』
ーズキンッ
突然頭に激痛が走った。頭を抱えて座り込むと、朱雀が心配そうに顔を覗き込んできた。
「どうした!?」
「…っ……大丈…夫」
落ち着け…落ち着け…。また何かの声が聞こえた。
羽優……
あたしじゃないけどあたしを呼ぶ声。
「…翠………」
あたしは知らない誰かの名前を呼んでいた。
「お前…何でその名前を…」
朱雀は驚いたようにあたしを見ている。そんな朱雀の顔を見つめながら意識を失った。