先見の巫女


晴明様から聞いた事がある。都を守る四神は己の肉体を失った瞬間からそれぞれの望んだ姿で存在しているという。


あの永炎朱雀は四神朱雀の化身刀…
あれが朱雀が望んだ姿だ。


そして…晴明様は翡翠龍のよりましを持っている。


そう…そのよりましが雛菊であるあたし。四神の青龍が望んだ姿。


青龍には水鏡の恩恵で先を見通す力、過去を見知る力があったという。


この事をつい最近晴明様から聞いて知った。聞いた時は驚いたけど、何故か…すごく納得出来てしまう自分がいた。


「…朱雀…………」


ぽつりと名前を呟くと、朱雀は笑顔を向けてくれる。


「心配するな…この永炎朱雀にかけて…守ってやる」


そう言って朱雀は刀を振り切った。炎がバチバチと音を起てて飛び散る。
妖は一瞬にして姿を消した。


「妖を一瞬で……」


…晴明様の妖を滅する陰陽術もすごいけど…朱雀もすごい。


全てが一瞬だった。あれが…四神朱雀と…朱雀の力…





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