先見の巫女


「…四神の化身の力を使えるんだね…朱雀」

「…お前…翠の名前の事といい…四神の化身の力の事といい………」


朱雀はあたしをじっと見据えた。あたしもその瞳を見つめ返す。


朱い瞳、朱い髪…
まるで朱雀のようだ。


「…お前はいったい…」

「…わからない…あたしが一番知りたいよ…」


そう言って笑う。そう…あたしが一番知りたい。


あの先見の事も…翠と羽優の事も…朱雀を懐かしいと思う事も…


知りたい事だらけ…


「朱雀、今は雀ちゃんを探さないと…妖の様子がおかしい」


今日はいつも以上に活発すぎる。こんな道のど真ん中で人を喰らうなんて…


雀ちゃんが危ない…


「雀の奴を早く見つけねぇと…あいつ…何処行きやがったんだ」


朱雀の顔にも余裕が無くなっている。仕方ない…力を使おう。


最近は不安定だったから…使わないほうがいいと思ってたけど…


「今はそんな事言ってられないもんね…」

「…何か言ったか?」


小さい声で呟いたあたしを朱雀早く不思議そうに見ている。





< 29 / 216 >

この作品をシェア

pagetop