先見の巫女


雀ちゃんの辿った過去を見つめる。薬草を摘みに森に来ていた。


『雛菊さん…早く目を覚ますといいなぁ』


ニコニコ笑いながら薬草を積む6歳くらいの少女。


まさか…あたしの為に…?


それから場面が一気に変わる。洞窟の中だ。


『雨降るなんて聞いてないよ…。あ、でもお兄ちゃんが言ってたっけ…山の天気はすぐ変わるって…』


雀ちゃんは雨宿りしているのだ。膝を抱えて雨が止むのをじっと待っていた。


それから雨が止んで洞窟を出ると、木の根につまずいて足を痛めてしまった。


『ふぐっ…痛いよぉ…』


また洞窟に戻り足を摩りながらじっとしている。


『お兄ちゃん………』


大好きなお兄ちゃんが迎えに来るのを待ちながら…





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