先見の巫女


「あたしは…どこへも行かないよ…」


安心させるように抱きしめ返す。


でも…保障なんて出来なかった。現に翠の声が聞こえるようになってから過去、未来を無意識で行き来してしまっている。


そのうち帰って来れなくなる…


あの時……

『だからあたしは…』

の後、何て言おうとしたのだろう…


「雛菊…もう二度と…」


だからか、そんな事を考えていたせいで朱雀がそう呟いた事に気がつかなかった。






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