先見の巫女


『…雛菊…』


これは夢なのだろうか…
愛おしむように名前を呼ぶ声が聞こえた。


―誰…?


『…雛菊…っちへ…』


―お願い…呼ばないで…


そんなに愛おしむように…呼ばないで…包み込むように優しくしないで…


それが…すごく痛いょ…


『再び…えた…愛し…私の…』


―聞こえないよ…聞きたくない…

それを聞いた時…あたしは…
現を生きられなくなってしまうから…


『…雛菊……』


―ねぇ…だから…


名前を呼ばないで…翠…






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