いい意味で
第一章 出発前
人には運命というものがあるのだろうか、それともそれに向かっていくのだろうか。

もし僕が妖怪ならば、人間であるよりもその分、あの子を愛せるのかもしれないし
愛されるかも知れない。

そう。片思いというのは、まったく相手の気持ちが分からないものだ。

そして、分からないがゆえに迷い、迷わされるもの。

それを他人が見たり、ふと客観的に観ると、
滑稽さというチャンピオンベルトを手にいれることが出来る、魔法のようなものだ。(ジャイアントサヤコさんの著書「黒魔術でチャンピオンベルトを勝ち取ろう!」からの引用。)

これは片思いの話。
これを読んだあなたは胸が苦しくなるだろうか、または恋をしたくなるだろうか
そんなこと正直知ったこっちゃない。と思うだろうか。

そうっす。僕も正直ただあの子を好きなだけなんす。

じゃあ話を始める前に自己紹介をしておこう。

僕は、お江戸は日本橋で、親が営む婦人服卸の会社で働いている30歳の男だ。
独身というより彼女がいない。
夢、すげぇラッパー。
だが無名も無名。華もなけりゃあハンサムでもない。
噛み砕いていっちゃえば、そこらへんにいる平凡な兄ちゃんだ。

では始めてみようか。いい意味でね。

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