いい意味で
もう、りうの会社の先輩の富岡さんに電話しなくても行き方は分かる。
ちょっと車のエアコンを止めて、窓を開ける。
まだ東京。夜もモワッとする首都高の空気を感じながら
街に光が散らばっている。

夏っていいな。青森の夏ってどういう感じなんだろう。
でも青森市は普通の住宅街だから田舎とかじゃないしなぁ。

よくわかんない虫とか蝉がうるさい自然とか行ってみたいな。
ねぶたとかはまだだろうけどさ、東北の夏ってすげえ熱そう。

そしておんちゃんとりうは、外に向かってなんか下ネタをわーわー言ってる。

風の音とおんちゃんとりうの声を聞きながら外を眺めていたら、体がべたべたしてきたから
窓をしめてクーラーを付けた。そしてりうが選曲したJ-POPが流れる。
僕が嫌いなグループの曲が流れてるけど、まぁいい。旅と夏はこれからだ。

道を進む。東北道に入り景色は暗くなり、灯りは少なくなっていく。
時間はまだ夜の一時。こっからが長いんだ青森まで。

まだまだ日の出までは遠い。景色も見えない。
栃木にはいってから最初のサービスエリアに入って、トイレ休憩。そしてまた出発。

おんちゃんとりうは、仕事の後だし疲れてたんだろう。
りうは「疲れたら言ってね。応援するから」といって、おんちゃんは「ちょっとね。ちょっとあれだから。」と言って寝てしまった。
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