いい意味で
それを二人に話すと、「え!!まじで!?気持ち悪るっ!!」と赤い顔して言っている。
色々話すが、答えなんてでない。
店員さんに、「妖怪みたいだ」という言い回しを東北では使うのか?
と聞いても、「使わないですねえ。」といわれる。

なんだろう…気分が晴れない。
煙草を吸おうと思ったら最後の一本だ。

「ちょっと煙草買いに行ってくる。」と二人に告げ、僕は外に出た。

寒い。上着を着て来なかった為、寒さで体が震える。

この店に入る前に見かけたコンビニまで歩いている途中、携帯が鳴った。
見てみるといくちゃんからの電話だ。

別れてからも、たまに電話がかかってくる。
ここ最近はなかったけど…

七年も付き合っていたから、
まだ、僕はいくちゃんの心のそばにいるのだろうか

これから先どうなるんだろう。と不安なのか、僕への罪悪感からなのか、たまに電話をしてくる。
そして僕は別れる前と変わらずにおしゃべりをする。
大抵、いくちゃんが泣きながら俺に「ごめんね。」と言って一方的に電話を切られる。

今日も電話に出ると、いつも通りだった。

電話が終わった後、心配になる。耳に泣き声が残ってる。
今もいくちゃんは僕にとって大事な人だ。
だから、女々しいが他の男といくちゃんが付き合ってるのを考えるのは、正直嫌だ。

でも、幸せになってもらいたいと心から思う。

変な男には捕まってほしくないし、夜遅くなったらタクシーで帰ってほしい
そして、世界は素晴らしいと、明るく生きてほしい。どうか負けないで欲しい。

久しぶりにいくちゃんの声を聞いた僕は
泣き声、寒さ、疲れ、知らない土地、様々な想いが絡まり、溢れだしてきた。

俺何やってんだろう。ほんと何やってんだろう。


そして、いくちゃんと別れて初めて、僕は涙を流した。
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