いい意味で
うわ。と思い、僕は立ち止まった。
女の人はこっちに今も向かってくる。

どうしよう。走って逃げちゃおうか。
でも体が固まってる。意識がまだびっくりしているんだろうか

なんだ…。頭が真っ白だ。

僕は後ずさりしかできない。
周りにはやっぱり人がいない。

女の人はどんどん近づいてくる。

なんかやばい。走って逃げようとした。

するとその瞬間、「待って!!待って!!違うの!!」
女の人が僕に叫んできた。その声は、懇願する人の声だった。

僕は何故か立ち止まってしまい、女の人は近づいてくる。

女の人「待って!ごめんなさい。別にあなたを怖がらせるつもりはなかったんです。」

僕「…あんたなんなんすか?」

何故僕に近づいてくるのだろう。立ち止まったものの怖さで声が震える。

女の人「驚かせてごめんなさい。あたし平井若菜といいます。あの、別に悪いものではないので心配しないでください。」

僕「…いや、あんた何なんですか?」

女の人「唐突で、あの…驚くかもしれないですが……あたし…妖怪です。」

は? 怪しい。怪しすぎる。何言ってんだこの人。

僕「はぁ?!お前馬鹿じゃねぇのか。。ふざんけんなよ。。」

馬鹿にされた気分で怒ってはいたが、恐怖で声は震えていただろう。
頭オカシイ人に何かされるんじゃないか。
騙されるんじゃないか。

第一、そんな事信じられるわけがないだろう。

女の人「本当なんです。嘘だと思うかもしれないけど信じてください。」
真剣に懇願するような顔だ。本気で危ない人かこいつ。

僕「信じるわけないだろ…馬鹿じゃないのか」

女の人「本当です。だって今日秋田の温泉で、おじさんに会いませんでしたか?」

僕「……会ったけど…・・」
ドキリとした。まさか…・

女の人「あの人、あたしの知り合いで……妖怪です。」

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