いい意味で
第一章 出発前

今から二年前の春のことだ。
東京郊外、町田市、東京都とは名ばかりの街。自然いっぱいの田舎街。
渋谷、新宿、横浜から電車で30分のベッドタウン。
僕の住んでいるのはそういう街だ。

仕事終わり、金曜夜10時。地元の友達と行きつけのカフェで話をしていた。
内容は旅行の話。明日からの土、日、月と三連休が僕等を待っていた。

「今からどっか旅行にでも行っちゃおうか!!」
なんてノリの話を、友達のおんちゃんに話していた。

ああ、おんちゃんというのは、高校の時の同級生。顔はいいけどド変態。
内容は言えない。まぁそれはまた今度話すよ。


「旅行どこいくよ?」さっきからノリだけで、行く気がなさそうなおんちゃんに、何度も問いかけている質問だ。

おんちゃん「そうだねぇ、海外がいいなぁ。」

僕「どこ?」

おんちゃん「山梨!!うひぃぃぃぃーー!!」

僕 「急にどうしたの。気持ち悪いね。その声。まぁでも山梨はぶどうが有名な所らしいよね。やっぱ海外らしいよなぁ。夢があるよなぁ。」

おんちゃん「山梨行くにはね!パスポートは要るけどね!下道使っても日帰りで行けるらしいよ!」

僕「うふふふ。」

おんちゃん「うふふふ。」

いつも通りの実の無い話ばかり。
脱線を続け、時間も遅くなって結局どこにも行かないのが定番なんだ。
「じゃあ帰るか!!」って言ってね。

だけど、今回どうしても僕は旅行に行きたかった。
気持ち的にパーッと羽を伸ばしたかったんだ。

つまらない日々が続いて、ずっと続いてる気がして。
何か焦っていたのかもしれない。
それに、辛口のジンジャーエールもそろそろ飲み終わりそうだ。

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