いい意味で
第四章 目覚め
目が覚める。ずいぶんと深い眠りをした気分。
まだ寝れそうだが、窓の外をみると今日も灰色の空が広がっている。
雨は降ってないようだ。

ふと時計を見ると11時30分。
アラームかけ忘れたんだ。
今日11時にホテルに来るっていってたよな。

………でも、あれ夢じゃないよな。本当にあったことなんだよな。

ちょっと疑心暗鬼になる。そして、幻であって欲しいと願う自分がいる。

一回ロビーに出てみよう。
そして、あの人がいなかったら夢だったんだろう。
そう思うことにした。

歯をみがき、顔を洗い、着替えて降りていくと
ロビーに置いてあるソファーでは、おんちゃんとりうと見覚えのある女性が談笑している。

ああ…夢じゃなかったんだ。

若菜さんは僕に気付き、笑いながら会釈をしてきた。
おんちゃんとりうもこっちを向きながらにやにやしている。

僕「あ…すいません。」

若菜「いいんですよ!大丈夫です!」

おんちゃん「おまえいつの間に若菜ちゃんと仲良くなったんだよ!ずりぃよぉ!!ねえ?」
そういいながらおんちゃんは若菜さんに問いかける

りう「ほんとだよ。いつの間に俺の彼女とさぁ。ねぇ?」
そういいながら、りうも若菜さんに問いかける。

若菜さんは「ほんとですよねぇ。」なんていいながら笑ってる。

逆にお前等いつの間に仲良くなってんだよ。僕の怪訝そうな顔に気付いたのだろう

若菜「あ、ロビーで待っていたら、お二人が来て、話しかけられたんです。」

おんちゃん「そうそう。昨日の居酒屋にいた人だ!と思ってさ。」

りうは「ね~?」といいながら若菜さんにまた問いかける。
若菜さんもそれに応える。

若菜「それでお二人に、昨日一緒にいた方とあの後偶然会って、仲良くなって、今日一時間だけお会いしてもらう事になったんですよ。と話してたんです。」

おんちゃんは「ずりぃ~よぉ!!!」と茶化し
それに加わり、りうも「ずりぃ~よぉ!!!」と言ってる。

どうしよう。行こうか行くまいか。

僕が答えないせいで沈黙が流れる。

映画ではこういう奴って大体死ぬんだよなぁ。騙されて喰われたりしねぇかな…。
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