いい意味で
ガシャン!ズガガーー!!!ン。という音を聞いたかと思うと、視界は暗くなった。




ぼんやりとした景色の中で、何か声がする…

誰だろう。ずっと僕の名前を呼んでる。

あ、若菜さんだ。後ろには人だかり、騒がしいな

なんで若菜さんは泣いてるんだろう…血だらけじゃないか
そして、また景色は暗くなった。






目を開けると、そこはベッドの上だった。体を起こしてみるが、頭が軽くクラっとする。

体のところどころが少し痛い。手に包帯が巻かれてる。頭にも違和感を感じ、触ってみると頭には絆創膏。

僕はどうなってしまったんだ。見渡すと器具が色々とある。

ここは…、病院か?

そう思ってボーっとしていると、部屋の入り口から一人のおじさんが入ってきた。

誰だ。この人。

男「ああ、目を覚ましたんですね。」

僕「あ、あの…すいません。僕どうなってるんですか?」

男「君はね、若菜と車に乗ってるときに、他の車にぶつけられ、そして車は横転。君は病院に運ばれ、今に至るというわけです。」

僕「はぁ。そうなんですか…。若菜さんは?」

男「若菜は大丈夫です。みたでしょ?ナイフ。」

僕「ナイフ…。あ…」

男は笑顔浮かべる。
男「もうしおくれました。若菜の父の、平井昌也という者です。」

僕「あ…どうも初めまして。」

昌也「どうも。でも良かったですね。大事には至らなくて。かすり傷程度のものみたいです。」

僕「そうなんですか。」

昌也「若菜も先ほど目を覚ましました。菊地さんより傷は深かったみたいですが、明日には治るでしょう。」

僕「そうですか…」
僕は放心状態で、何が起こったのか良く分かっていない。

あれ、若菜さんのお父さん?!

僕「え…あの…若菜さんのお父さんですか?」

昌也「ええ。そうですよ。」

ドキっとする。この人も妖怪か。
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