いい意味で
「申し訳ないけどさ、明日でも今夜でもいいから俺の家まで車を運転して帰ってくれないか?」
と、りうとおんちゃんに伝えた。

「わかった。あと、お前が目を覚まして元気だって事もお前の家に連絡しておくよ。ゆっくり休めよ。」とおんちゃんは言ってくれた。

りうは「今度風俗おごれよ!」なんて医者の前で言っている。
本当にくそったれありがたい仲間だ。

医者は部屋を出て行き、りうとおんちゃんは少し話をしてから部屋を出て行った。
あいつらはもう今から東京に帰ることにしたらしい。

申し訳ないことしたなぁ。東京着くの今出たら何時なんだろう。なんて思いながらボーっとしていた。三十分位だろうか。

すると若菜さんの父が入ってきた。

昌也「お友達も帰られたようですね。若菜も菊地さんに申し訳ないと謝っていました。」

僕「いえ、僕は大丈夫なのですが。。。そういえばぶつかってきた車は…」

昌也「見つからないんです。ぶつかってきた大型の四駆車はそのまま逃げていってしまったみたいです。向こうも壊れてるだろうから、そう遠くまでいけないはずなのですが。
ただ、私がいうのもなんですがね、不思議な証言があるんですよ。
あの事故を目撃した人によると、その車の運転席には誰も乗ってるように見えなかった。
という証言が。それも一人じゃなく、数人いるんです。」


僕「え。どういうことですか。」

昌也「さぁ。わかりません。でも、捕まらずに逃げられたっていうのは、菊地さんにも申し訳ないし、若菜の親としても悔しいです…ね。」

僕「……」
そういう若菜の父もまた、人間の様に見えた。

昌也「それはそうと、若菜が妖怪で、菊地さんに妖怪の雰囲気があるという事を調べようと、私に会いに来る途中の事故。そして、不可思議な目撃証言がある。これは、おかしいです。菊地さんは、明日にでも東京に帰られた方がいい。」

僕「いや帰りたいのは山々なんですが…結局僕はなんだったんでしょう?」

昌也「わかりません。わかりませんが、私達は弱い。何かがある前に青森を去ったほうがいい。」

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