いい意味で
うん。言ってみよう。

僕「あの、帰る前に若菜さんにもう一回会いに行ってもいいでしょうか?」

昌也「…若菜にですか?」

僕「はい。お礼を言いたくて。」

昌也「まだ起きてるかわかりませんしね。すいませんが、やめておきましょう。」

僕「あの、寝ててもいいのでダメでしょうか?」

昌也「はい。すいません。」

僕「そうですか……」

昌也「もう…菊地さんは若菜と会うことはないと思います…。私達とも。」

僕「え?」

昌也「すいません。どうか察してください。危険の可能性は減らさないといけないのです。」

そういわれて、もう言えることなんてないじゃないか。
無言のまま、残りのご飯を食べ続ける。
早く食べ終わりたかった。

そして僕も食べ終わり、若菜のお父さんも食べ終わる

「ご馳走様です。」そう言って、茶碗などを運ぼうとすると

お父さんに、「いいですよ。そこに置いておいていただければあとで片付けますので。」
といわれる。お世話になってばかりだ。

僕「すいません。じゃあご馳走様でした。帰る準備してきますので。」
居間を出ると、すぐそこでさゆりさんがいた。

「おはよう~」といいながら、眠そうに居間に入っていく。
「おはようございます。」と言い、部屋に戻り荷物をまとめ、布団をたたみ
ドアの前でもう一度この部屋を見渡してみる。

若菜さんにもう会えないのかぁ。

一番近くにあった写真で若菜さんが笑ってる。

東京に帰るしかないか。仕事もあるし。
若菜さん。どうかお元気で。どうか負けないで、頑張ってください。

そう思い部屋を出た。
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