いい意味で
階段を下りて、居間に入る。
僕「すいません。僕は用意できましたので。」

昌也「おお。早かったですね。でもすいません。さゆりが一緒に送っていく。というもので、準備をしてるのでもうちょっと待ってくださいね。」

僕「ああ。本当ですか。じゃあ・・僕外で煙草吸ってるんで。」

昌也「ああ、どうぞ。」

洗面所の方から、水を出してる音が聞こえる。
歯でも磨いてるのだろうか。

外にでてみると、今日も曇りだ。
でも雨よりはいいや。伸びをした後に深呼吸をすると、冷たい空気が肺にはいる。

やっぱ冬だよ。まだ。

煙草を吸いながら、町並みを眺める。
普通なんだよなぁ。普通の住宅街なんだよ。小鳥もチュンチュン鳴いてやがるしさぁ。

次の曲がり角までふらりと歩いてみる。とことこ歩いてみるがただの住宅街。

家の前を掃いているおばさんと目が合い、おはようございます。と言われ、挨拶をしてまた戻る。

まだ出てきてないよな。
女の人の準備って遅いんだよなぁ。。姉ちゃんもそうだけど。

玄関の段に腰掛けてボーっとしていて、しばらくするとドアが開いた。

玄関から、サングラスをかけたさゆりさんが「おい~っす!!」と言いながら出てきた。すっぴんなのだろう。

「すいません。遅くなりました。」と、そのあとを若菜さんのお父さんが出てきて
家の鍵を閉めてる。

昌也「すいませんね。いま車出しますから。」
そう言って、車庫にいく。

さゆりさんはその間も何も喋らない。
車が出てきて、僕は後部座席に乗った。

駅までの途中、色々若菜のさんのお父さんは教えてくれたが
なんだか頭にはなにも入らなかった。

窓の向こうでは、昨夜通って来たであろう道が、違う顔を見せている。
これでもう若菜さんにも、さゆりさんにもお父さんにも会わないのか。

本当によくわからない旅だったよ。
すげえよく分からない。モヤモヤする。
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