いい意味で
僕は布団にねっころがって、天井をボーっと見つめてる。
返事は来るだろうか。若菜さんはもう治ったのだろうか。
はぁ。しかし疲れたなぁ。本当に長い旅をした気分だ。

ヨッ!っと起き上がってベランダで煙草を吸う。
これを吸ったら寝ようかな。
町田の空は、濃紺を下地に黄色い星が数個見える。
月も見える。
肌寒いが、東京は春が近い。埃っぽい空気が見えそうな気がした。

煙草を吸い終わり、部屋に戻ると携帯のランプが光っている。
見るとメールだ

「件名 若菜です!」
「本文 こんばんは!若菜です!メアドと番号を教えたと姉から聞きました。私は無事怪我も直り、今はもう家に帰ってきて、自分の部屋にいます。
あの事故大変でしたね。まだぶつかってきた人も見つかってませんし。
でも、菊地さんが無事で何よりです。
私事故のときの必死であんま覚えてないんですよ。でもせっかくだから「あたし朦朧としながら菊地さん助けようとしちゃったぁ☆」って胸でもはっちゃおうかな笑
それと菊地さん、私の実家に泊まられたんですね。しかも私の部屋に。
すいません。汚い部屋で汗 
怪我のほうは大丈夫ですか?」

おお。返事来た。良かった。でも、返事は電話でしよう。

教えられた番号に電話すると、電話には出ない。
あれ。まぁいいか。じゃあメールで返信しよう。

「そうですか!良かったです。怪我も治ったなら安心です。
そうですね。なんだか大変な事故だったらしいですね。
でも、僕はかすり傷程度なのでピンピンしてます。
若菜さんのお陰なので、ばちこん胸を張ってください笑
 それに部屋凄い綺麗でしたよ!おかげさまでぐっすり寝れました!
あ、あと今電話があったの僕の番号なので。」

送信っと。

さて、まだ九時過ぎだけど寝よう。
なんかまともにこの旅では寝れなかったからな。
そして、机の上にある昔飼っていた猫の写真に
「おやすみ。」と言って、僕はアイポッドをくるくる回し
今流行のJ-POPを聞きながら、眠りに落ちようとしていた。

すると、ブー。ブー。と携帯が震える音で眠りから戻される。
なんだろう。うるせぇなぁ。

部屋が暗いので、手探りで携帯を探す。
半分夢のなかのような、ぼやける目で電話を見ると
若菜さんからだ。
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