いい意味で
夜12時過ぎに東京を出て、秋田に着いたのは朝の九時くらい。
高速を出て秋田市に入ると、もう雪は見当たらず
地方都市の風景が広がっていた。

そして生憎の曇り。今すぐにでも雨が降り出しそうだ。

秋田市内は目新しくはないどころか、親近感さえ湧いた。何故なら町田市と似ていたからだ。

しかし、「ここが秋田の一番強ぇとこかぁ。」なんて秋田駅辺りを散策したものの
何がある訳でもない。

ジャンケンで負けた奴が、「秋田の美容室で髪をお任せで奇抜に切ってもらうゲーム。」をしようとしたものの、おんちゃんが「俺髪短いから坊主くらいにしかなんないでしょお!」と、
ビビッてやらなかったため、
皆冷めて、疲れもあって無言が多くなった。

りうに限ってはそれプラス、寒さに震えていた。

するとおんちゃんが、「やっぱ地方に来たんだから自然とかみようよぉ。」と言ってくる。
雨降りそうだし、寒いし、眠いし、面倒くせぇ野朗だ。イラっとする。
僕は、ここ秋田でだらだらとしたい気持ちで溢れているんだ。

だが、おんちゃんは駄々をこねる。

「しょうがない子だねぇ。」と強めにおんちゃんの乳首をつねると嬉しそうにしてる。
りうは「うるさいブスだねぇ。」とおんちゃんのお尻を力強く鷲掴みしている。
おんちゃんは「や~め~ろ~よ~!」とまた嬉しそうにしてる。

本当気持ち悪ぃ奴だな。こいつ。まぁ皆か。
しょうがないので、行くあてもなく車を走らせてみた。

おんちゃんの何となくの指示を受け、なんとなく道を進んでいく。
どんよりと沈んだ雲が空を覆い、景色も灰色の様。
煙草を吸う時に窓を開けると、あと数日で四月だというのに、信じられない寒さの風が入りこむ。

おんちゃん「寒いなぁ…」

僕「おんちゃんぐらいね」

りう「おんちゃんが真面目ぶった時ぐらいね」

「なんだよお!!」なんてその一瞬は盛り上がるが、
もう僕等の言葉が段々短くなってきている。友達との旅行にはありがちだ。

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