いい意味で
そして、その店がある場所は渋谷とはいえ、人通りがあまり多くない裏道のような場所にある。

でもそこは雰囲気もよく、僕は前におんちゃんとりうと行った時に気に入ったんだ。

そして店が入ってるビルに着く。エレベーターが下に来るのを待っている。
ああ、そういえば煙草がもう無いんだ。
二人には、その飲み屋は5Fにあるということと、ちょっと煙草買ってくると伝え、コンビニに向かった。

煙草を買い、またそのビルに向かっているとき
「みゃ~!!!」
またあの怒ったような鳴き声が聞こえた。

なんだ?あたりを見回す。まぁ猫くらいいるだろうけど…
「みゃ~!!!」また聞こえる。
なんだこれ?耳の奥で聞こえる感じ。
怖くなって、僕は走ってそのビルに向かう。

ビルに着き、エレベーターのボタンを押す。
エレベーター早く来い。早く。
なんだよ!遅い。
我慢できず、僕は階段を駆け上がっていく。

五階にたどり着き、お店にはいる。

息が切れる。
皆がいる席を見つけ、もう飲み始めている。

僕「なぁ智久。ちょっと来て。」
息を切らした僕が真剣な顔をしていて
皆が不思議そうにこっちを見てる。

智久「何?どうしたの?」
智久を端のほうに連れて行く。

僕「いやさ、さっきそこで、またあの猫の声が聞こえたんだよ。」

智久「え?まじで?!」

僕「最初はさ、野良猫かと思ったんだけどさ、やっぱなんか違うんだよ。」

智久「違うって何?」

僕「いや、なんか耳の奥で聞こえるようなさ。」

智久「え…なにそれ?」

僕「わかんね。わかんねえけどさ。…やべぇ。怖かった。思い違いならいいんだけどさ。」

智久「そうかぁ…まぁ、とりあえず席に戻ろうよ。」
「そうだな。」僕等は席のほうに戻った。

みんな不思議そうな顔をしてる。
「どうしたのぉ?」なんてゆりかちゃんが聞いてくる。

僕はお道化て、「はいぃ~~~。」と言いながら、親指が離れたように見える、低級な手品をやってみせた。

かおりちゃん「え?それやるためだけだったんだ?!」と笑ってる
なんとか場が元に戻った気がする。

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