いい意味で
あとで大変だろうなぁ。
僕「しかし若菜さん酒強いっすねえ。」

若菜「ええ。泥酔とかしないですねえ。ほらあたし…」

僕「ああ。そっか。」

若菜「まぁ、でも意識しなきゃ普通に酔っ払うんですけどねぇ。」

そうだよなぁ。青森での事を想い出す。
ナイフで切っても、すぐ治った。病院では、光る羽に包まれて回復していた。

そうだ。やっぱり若菜は妖怪なんだよな。

今夜、僕は勝手に距離が近くなったと思っていた。
そして、忘れてしまおうかと思っていたこと。

そう思うと無性に寂しくなった。胸のあたりがシクッと痛む。
急に距離が離れてしまったような気がしたからだ。

僕等の周り、おんちゃん、りう、智久、かおりちゃん、ゆりかちゃん、
お店の他のお客さん。

全てがわぁわぁ楽しそうで、この音が無ければ
きっと僕は、僕に勝手に飲み込まれていただろう。

乾杯をしよう。「今日はありがとうございます。」そう若菜と乾杯をした。

それを見逃さずに、りうが「ずりーよ!お前だけ若菜ちゃんと乾杯して!!」
「ねぇ若菜ちゃん?」と聞くと、「ねぇ?」とりうに返す。
そして、みんなで乾杯することになった。

時間を忘れ、時間が流れていく。
誰かがお酒をこぼしたり、おはしを落としたり。

酔っ払った誰かがまた乾杯を繰り返したり

そして、僕等は皆笑顔で、アルコールに飲まれていった。
< 65 / 114 >

この作品をシェア

pagetop