いい意味で
気付けばもう夜12時、若菜さんたちは新宿のホテルに泊まっているらしく
まだ電車はあるが、タクシーで帰れるし、せっかく東京に来てるので
もう一軒さらにはしごすることになった。

お陰さまで、おんちゃんもりうも智久もかなり酔っ払ってる。
そういう僕もだけれど。

大分かおりちゃんもゆりかちゃんも若菜さんも酔っ払って、みんな楽しくなってる。

久しぶりだなぁ。こんなはしごして呑むの。

ゆりかちゃんが「青森っ子は強いから!東京っ子より!」
なんて言うから、おんちゃんが「あ、お前言ったなぁ!」なんてはしゃぎ始めた。
りうも「言ったよ言ったよ。」なんて気持ち悪い声をだして、おんちゃんに抱きついてる。
智久はおんちゃんに肩を組まれながら、よろよろと歩いている。

僕は、これで何回もこいつらが潰れたのを見ている。

まぁいい。適当にタクシーに乗せて帰ればいいや。

かおりちゃんは綺麗で、優しいタイプ。
ゆりかちゃんは、可愛くて、元気よくて楽しいタイプ。

すげぇいい感じだから、あいつら楽しいだろうな。
なんか皆で手を繋いで歩いてるし。

現に、さっきトイレでおんちゃんに「きくっちゃん!まじでありがとう!!すげえ可愛いし、すげえ楽しいな!!」といわれた。

しかし僕もだいぶ酔っ払った、元々強くはないからな。
そして、すっかり猫の声のことなんて忘れていた。

「次はカラオケいこ~う!!」となってカラオケ屋に向かってると、若菜さんがストールを忘れたと言うので、さっきの飲み屋に戻っていく。

あいつらには「俺が待ってるから先にいっていいよ。」と言っておいた。
すると智久が、「俺ちょっと吐くから、ここにいる。」と言ったので
智久と待つことにした。

智久は横でゲーゲーはいている。
僕は、近くにあった自動販売機で水を買って智久に渡す。

なんとなく声をかけると、大丈夫と返ってくる。
僕も、あ~酔っ払ったなぁ。なんて独り言をつぶやく。

煙草に火をつけて、空を見る。
月はビルに隠れてみえないけれど、夜空に浮かぶ雲を朦朧と眺める。

隣で、「あ~!!」と言いながら、地べたに智久が座ってる。
まったく酒の弱い兄弟だな。俺達は。
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