いい意味で
結局どういうことなんだ。若菜さんもおじさんも襲われた理由が良く分かってないようだ
それにネコは最後、僕と智久の事も殺そうとしてきた。
そしてもし、おじさんや若菜さんが悪い奴だとして、
輪廻なんとかで僕や智久を助ける義理はないはずだし…
でもネコは言い続けていた。あいつらは悪い奴だって。

だめだ。どういうことなんだ。分からない。

浮かぶ若菜さんの笑顔。二回と言っても、僕にはそれ以上な気がする。
それ以上に好きになっている気持ちばかりで、
今日線路沿いで見たはしゃぐ姿。春の風。手を繋いだこと。

よく分からないことが多いが、ネコに襲われたときの若菜さんの悲鳴、そして今まで見た笑顔。
混じり合い胸が苦しくなる。

若菜さんに心が近づこうとしたとき、ふいに胸の中
いや、もっと違う、心?
いや、もっと奥底のもの、もっと根本的な何かがざわざわとする。

なんだ?よく分からず目を閉じると
目の中が赤色に染まる、どんどん色を変えていく
まだら模様、光がちかちかする。

なんだよ。これ。

またその何かはわからないがイガイガしてくる。イライラするという感情じゃない。
何かが形を変えている。

目を開けると、若菜さんが僕を心配そうに触れてくる。

ああ。若菜さん。
体温を感じ、なんとか静めようと思った瞬間、それは急に加速をした。

僕はびっくりしてのけぞる。
なんだよこれ。
若菜さんを見ると、若菜さんも態勢を崩している。

「おい…。」なんておじさんは言っている。
智久も「兄ちゃん大丈夫?」と言ってくる。

間をおくと少し治まり、「大丈夫だよ。」と一応言ってみるが……
なんなんだよこれ。あんな事があったから
僕自身がびっくりしてるしてるんだろうか…。

訳分かんねぇよ…もう疲れちまった…

皆。皆死にそうになった。おじさんが来なければ死んでいただろう。
なんなんだ。訳の分からないことばかり起きる。
僕が妖怪になるかもしれないとかなんだってんだ。

もううんざりだ。
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