いい意味で
もううんざりだ。

若菜「よしさん大丈夫ですか?」

僕「大丈夫っす。なんか僕にはもう…分からないです……」

誰も喋らず、どこかで走る車の音が聞こえる。
もう頭がいっぱいで吐きそうだ…。息がうまく吸えない。

くそ。なんでこんな目に遭わなくちゃいけないんだ。
くそ。
上手く呼吸できてない僕の背中をさすりながら若菜さんは言った。
若菜「でも…ヨシさんにはどうか信じて欲しいんです…。」

顔をみる。匂いが、声が、僕を落ち着かせると思った。
好きなんだ俺。若菜さんのことが…

するとまた急にさっきのように心がいがらっぽくなる。
今度はもっと、僕の根本的なものが尖っていく感じがして
それがどんどん広がっていく。
なんだ?なんなんだ?
一瞬にして怒りがこみ上げてくる。そして溢れる。

「いいんすよ!」言葉を遮り、訳も分からず若菜さんの手を振り払った。
だめだ。止まらない。

僕「いいんすよもう。化け物なんかと遊んだのが間違いだったんだよ。あんた達が良いか悪いかなんてもうどうでもいいんすよ。」

沈黙が浮かぶ。

「化け物って…」と続かぬ言葉を吐き、若菜さんが悲しそうな顔をしてる。

怒りが湧きあふれる。なんで俺がこんな思いしなきゃいけないんだ。
なんで智久が傷つかなきゃいけないんだ。
ふざけるんじゃねぇ。ふざけるんじゃねぇ。
勝手に妖怪の雰囲気だなんだ言いやがって。
こいつといるときに無事でいれた事なんて一回もねぇじゃねぇか。
こいつらのせいだ。こいつらのせいだ。こいつらのせいだ。こいつらのせいだ。

ネコだって俺を守ってくれてたのに。
俺が妖怪になるかもだと?無になるかもだと?

「あ~!!!」
イライラして僕は叫んだ。
何なんだよ!!もう!!!
さっきまでの、若菜さんを好きだった僕はもうそこにはいなく。
ただ、錯乱した僕がいた。
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