落としモノ



ぱっと顔をあげた琉生に
さくらんぼのブローチを見せた



「見つけたよ」


言うなりあたしは俯く



琉生の顔を見るのが嫌だったから




でも

顔を見るより先に琉生が口を開いていた






「やーっと、思い出してくれた?」




──────へ?



「やーっと、ってどういう意味…」


微笑んだ琉生が
あたしの手からブローチを受けとる


「気づいてくれるの待ってたんだけどさ
琉歌なかなか思い出してくれないから!」


えっ

琉生は気づいてたの!!?


「ごめん、嘘ついた
記憶探してほしいなんて。

でもよかった。」


くそぅっだまされた!


それでも
よかったなんて言われたら



あたしが4人で遊んでたこと忘れてたなんて
言えなくなっちゃうじゃん


困り果てたあたしの顔を見て
琉生は笑う


「やっぱり琉歌だ」



「やっぱり…とは?」



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