もう、なんなんですか、君は。
◇
「俺これ、隣に座ったほうがいいの?」
「あたしの隣が嫌じゃなければ」
そう言うと、彼はちょっと嫌そうな顔をして、でも隣に座ってくれた。
あたしも続いて彼の隣に座った。
ホールの椅子は、相変わらず安っぽかった。
足元にサブバッグを置いて、膝の上にリュックを置く。
公演の日は、荷物が増えるからちょっと嫌だ。
「ほんと、見に来てくれてありがとね」
「どういたしまして」
あたしがお礼を言うと、彼はぶっきらぼうに返した。
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