LOVE SONG

「渋座〜、どこ行ってたんだよ」

戻ってきた成田をオシャレに着替えた前迫が出迎えた。

「散歩っつったろ」

「もう、取材に行く時間だぞ」

「あっそ。んじゃ、行こうぜ」

「気楽な奴だねぇ、お前は」

15分も前から準備して待っている前迫は呆れ顔で言った。


取材のスタジオに着くと四人はそれぞれ個別に写真を撮った。

「渋座くん、今日は妙にいい顔してるねー。何かいい事あったの?」

カメラマンにそう言われて、

「何にもねーよ」

と、答える成田の顔は笑っていた。

「いや、あれは何かあったな、絶対」

と、側で見ていた前迫はしみじみと呟いたのだった。
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