LOVE SONG
「そりゃあ、もうっ」

「前迫…。お前それがそのまま詞になっちまうぞ」

と、楽しげに話す前迫を止めるように岡林が呟いた。

「えっ?そんな事ないよね?俺、本当はこんな軽い男じゃないんだからねっ」

「いやいや、このまんま」

と、真顔で高原。

「おい、否定してくれよ…。信じちまったら困るだろ…」

「ハハハハハっ」

ガックリうなだれる前迫を皆で笑い飛ばした時、マネージャーが入って来た。

「おい、次の仕事行くぞ。あ、中里さん、プロデューサーが呼んでます。僕たちは今日は、これで失礼しますが、宜しくお願いしますね」

「はい。こちらこそ。宜しくお願いします」

「じゃ、行くぞ」

マネージャーは部屋から出て行った。

「じゃ、また」

と、岡林。

「またね」

と、高原。

「バイバイ」

と、前迫。

「…」

成田は中里を一瞬見てそのまま無言で出て行った。
中里は小さく手を振って見送ってから、会議室の椅子を整えて、プロデューサーの所へ向かった。

< 30 / 212 >

この作品をシェア

pagetop