LOVE SONG
「つまり、今回のアルバムで『転』の部分を演じようってわけですね」

「そういう事だ」

プロデューサーは前迫を見てうなづいた。

「それと、ここで弾みをつけて、今度こそ『Be-Cool』の上を行かないとな」

「『Be-Cool』ね」

岡林が呟いた。

『Be-Cool』は『CityNoize』と同世代の同じくロックバンドで人気を二分しているが、売上では常にBe-Coolに少し負けていた。

「それで、今回は思い切って、新人の作詞家に詞を任せようと思ってるんだ」

「は?新人で勝てるんですか」

と、高原。

「…曲は?」

それまで黙って話を聞いていた、ちょっと目つきの悪い

成田 渋座(ナリタ ジュウザ)

が、上目遣いにプロデューサーを見て聞いた。

「曲は、頼んでもいいし、メンバーでもいいと思ってる。どうだ、この案。反対意見でも、質問でもある者は言ってくれ」

「…」


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