BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

サラが消えた後、上空を覆っていた灰色の雲が姿を消した…


唸る風も…

ざわめく木々も…


静寂が戻り、安心したように、小鳥達が舞い戻り、楽しそうなリズムを奏でる…


構えた剣を鞘に収め、ルリは、座り込むシュウの元へと戻ってきた…


戻ってくるなり、シュウの所々の切り傷に、顔をしかめながら頭を下げるのだった…


 「…ごめんなさい…怪我、させた…」

 「え?あの風、もしかして…」


その問いの答えを聞く事なく、背後から、声がした…


 「ルリ!」

 「マリン、ライナス、大丈夫?」


走り寄る2人…

怪我はあるものの、生死に関わる傷は負っていないようだ…


 「大丈夫ある。」

マリンは元気に腕を回すが…

苦痛に顔を歪め、肩を押さえる…

傷を負った腕…
忘れていたのだろうか…


でも、ひどくないようで、よかった…



 「ルリの戦ってる姿見んの、何年ぶりだ?懐かしく思えたぜ。」

 「そうあるね。でもルリ、その剣……」

ライナスは足を引きずっているようだが、骨は折れていないようで…

表情に出す事はなく、話をルリに向けた。


ライナスとマリンはいつものように話しかけるが…


 「……」


ルリは鞘に収めた剣へと目を落とし、優しく触れた…

それだけで、言葉を発する事はなかった…


 「?」

 「まぁ、少し休めそうな場所を探すか。」


いつもと違うルリに、マリンは首を傾げるが、ライナスは何かを感じ取ったのか、ルリの事から話を反らす…


そしてライナスは歩き出した…

それについていくマリンとルリ…




初めて会った時と同じように、外されているように感じるのは俺だけか…?


置いていかれるシュウは、呆れたように溜め息を吐くのだった…


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