BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~
サラは上体をお越し、深く椅子に腰掛けるヴェインを見つめた…

目を伏せ、何かに怯えるように震え、口を開く…


 「…すみません……アスカが…」

 「いいんだよ。」

 「しかし……」


サラの言葉に、ヴェインは優しく答える…

しかしそれも、彼の口から出ると、どこか恐れを感じる…


 「元々、殺すつもりだった。」

 「えっ!?」

冷たく言い放ったその言葉…

殺すつもり…その言葉に反応したのか、サラは驚いたように声を上げた…



 「アスカは、あの女を殺すのに失敗した。」

 「……!じゃあ……私も……」

 「いいや。」

 「!」

オドオドど瞳を揺らし、勢い良く脈打つ心臓の音を気にしながらも、サラはヴェインをしっかりと見つめていた…


そんな彼女の表情を見たヴェインは、組んでいた足を組み直し、指を鳴らす…

すると、サラの姿は一瞬消え、消えたかと思うと、ヴェインの足下に現れた…


いつの間にか彼の目の前に移動していたサラ。

見上げると、彼の青白い顔がはっきりと見える位置まできていた…


恐怖からか、彼女の瞳には、涙が溜まっている…


ヴェインはすぐ近くに座るサラに手を伸ばす…

何をされるのかわかっている…

サラは目を強く瞑り、何かに耐えるかのように肩をすくめていた…


だが、その行動も、発せられた言葉も、思いもしないものだった…


 「君を殺したりしないよ。」

 「……」

サラへと伸ばした手は、彼女の頭を優しくなで、発せられた言葉は、子供をあやすようだった…


 「君は私の大切な女だからね。」

 「ヴェイン様…」


ヴェインの言葉に、サラの瞳から溜まった涙は消え、嬉しそうに彼にすり寄るのだった…


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