BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
*fifth* : ~流す涙は雨のように…~
「ふぁー……んぁぁ…」
「…はぁ…んん…」
「ふぁぁ………」
空は赤く染まり、高かった温度も、急に低くなる…
そんな夕焼けの中、大きな口を開けて欠伸をしたのはライナス。
それに続き、マリン、シュウと欠伸をした。
まるで、欠伸が伝染するように
3人は、ライナスから傷の手当てを受け、先程の戦いで受けた傷は、体から消えた。
だが、精神は回復できておらず、疲れ果てたのか、じっと目前の赤く光る薪を見つめていた。
ユラユラと、風に揺れ、炎の大きさを変えながら燃える。
眠気を誘う小さな炎。
欠伸をして、涙を拭うように、目をゴシゴシと擦るマリン。
だがその目は開いておらず、既に寝ているといっていいだろう…
一方、あぐらをかくライナスの体は、後ろに行ったり、横に傾いたり…
起きたかと思えば、前にガクンと揺れる。
かろうじて起きていたシュウは、そんな2人の様子を見て、微かに微笑んだのだった…
そして薪の向こう側では、いそいそと何かやっているルリの姿が…
彼女は、疲れているだろうと、3人をここに座らせて、1人でテントを張っているのだ。
手伝うと言ったが、頑として断られた。
ルリの小さな体が、あっちに行ったり、こっちに行ったり。
その度に、ウェーブのかかった茶色の髪が揺れる。
その様子を、大きさを変えながら燃える炎を通して見つめていると、ドッと睡魔が襲いかかってきた…
眠る気はなかった。
でも、何だか抵抗ができなくて…
そのまま夢へと導かれるままに、身を任せた…
赤く染まった空では、小さく光る宝石が、姿を現したばかりだった…