BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
砂埃が舞い、その砂が風に乗ってどこかへ運ばれていく…
そんな中、8人の人物が、武器を片手に睨みあっていた…
1対1の、真剣勝負。
シュウの相手は、短剣を持つ、細身の男と思われる人物。
ルリの相手は、巨大な鎌を肩に掛けた、大柄な男。
黄色い髪を覗かせた、すらっとした女の相手がマリン。
ライナスは、空中に鋭い氷の結晶を漂わせ、印を組む男の相手だった。
シュウは、相手を威嚇しながらも、短剣を構える男を観察していた。
DRAGONは、危険を知らせるように唸らない…
胸騒ぎもしない…
闇の者でもなければ、サロウでもない…
ならば人間…
襲ってきたきたという事は、盗賊か…?
敵が人間だとわかっているのか、3人は、攻撃を交わすだけで、仕掛ける素振りを見せない。
否、攻撃ができないのか…?
交わしたかと思えば、すぐさまやってくる攻撃…
避ける事が精一杯で、攻撃を仕掛ける事などできない…
力が、違いすぎる…
敵や、辺りの様子を確認していると、ふと、ある岩が目に入った。
この地に相応しくない巨大な岩…
その岩の上には、水色のローブを見に纏った、小さな人物が座っていた…
戦いには加わらず、ただ見ているだけの人物…
突然吹いた風が、彼の深く被ったフードをめくり、その人物の顔を露わにした…
水色の鋭い瞳…
右の髪は長いが、左の髪は耳の見える程短く、濃い青のピアスを覗かせていた…
少年のようだが、顔は女の子のように可愛らしく、真っ白の肌が特徴的だった。
彼は、めくれたフードを気にする事もなく、ジッと一点を見つめていた…
黒い剣を構えるシュウを…
同年代と思われる少年に目を奪われていたシュウ。
今、敵と戦っている事を忘れてしまったかのように、静止していた…