BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
時刻は深夜を回り、闇が覆う時…
濃い霧が漂う中、家の壁に背を預ける2人の人物と、その2人に近づく1つの人物の姿があった。
「…何やってんだよ…こんな所で…」
赤みがかった髪をした少年は、壁に背を預ける2人の人物を見ると、溜め息混じりに言葉を漏らすのだった。
「…にしても、絵になるな…」
そんな事を言いながら、彼、ライナスは、親指と人差し指を使い、四角を作ると、2人をそのフレームの中に納める。
すっきりした顔立ちに、紺色の髪、腕に刻まれたDRAGONの痣を持つ少年と、柔らかい茶色の髪をした、小さな少女。
少年の肩に少女の頭があり、その上に少年の頭があった。
寄り添って眠る彼らの姿は、とても綺麗で、目を引く物がある…
その光景を、写真に納めたい所だったが、ライナスは目を細め、もう一度彼らを見ると、彼の頭の中にその一場面を納めたのだった。
寄り添って眠る2人を起こそうか起こすまいか、迷っていると、少年、シュウに動きがあった。
「ぅ…ん……」
少女の頭の上にある自分の頭をお越し、目をゆっくりと開いたのだ。
「…」
目を開け、正面に立つ人物を見つめる…
見つめられるライナスは、戸惑ったように動けずにいて…
しばし沈黙が漂った…
「…ライナス…」
思考が戻ったのだろう、彼の名を呼ぶ。
「よっ…」
名を呼ばれ、綺麗な八重歯を覗かせて笑った。
少し控え目に…
「んん…」
シュウの肩が揺れたのだろうか?
彼の肩にもたれかかるように眠っていた少女、ルリが眠たそうに目を擦りながら、上体を起こした。
「ライナス…」
彼女も同じように、彼を見つめると、そう言葉を漏らしたのだった。