BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
自分の、言い表せない程の気持ちを、拳でぶつけているのだ…
心配で…
心配で…
どうしようもなくて…
彼女は、最後のこの拳に全てを込め、ライナスに向けた…
ガシッ!
風が唸り、何かにぶつかった音がした…
「!?」
マリンは目を見開き、動こうとしない…
腕を伸ばした状態で、確かに何かに当たっている…
伸ばした腕を辿り、拳がぶつかる先を確認すると…
そこには、マリンの拳を包み込むように、ライナス手があった…
マリンの拳を、ライナスが止めたのだ。
「無駄にすんなよ……この拳、大切な時の為に、とっとけよ…」
そう言うと、掌に納めたマリンの拳を押し、その拳を彼女に返す。
自分が振るった拳が止められた事に驚いているマリンは、返された自分の拳を無言で見つめた…
「むやみに拳なんな振る…グァッ!」
得意そうにマリンに説教をしようとしていたライナスだったが、突然、変な声を出した。
その隣では手をパンパンと叩くマリンの姿があり、周りては、シュウとルリが笑っていた。
何が起こったのかと言うと、マリンはライナスの話を聞く事もなく、簡単に彼の頬に拳を振るったのだ。
「いってー!お前、人の話…!」
頬に手をやり、マリンに訴えるが、ライナスはその言葉を止めた…
「何あるか…?アハハ…」
手を合わせ、指をポキポキと鳴らすマリンは笑っているが、どこか恐怖を感じる…
「い、いえ…何も、何もありませんよ…アハハ…」
そんなマリンに逆らう事もできず、彼は冷や汗を流しながら、マリンと同じように笑うのだった…