BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~
太陽は、灰色の薄い雲に覆われ、その姿を隠していた。

眠っていた小鳥達は目を覚まし、元気に唄を奏でる。

町の中は、昨夜の静けさとは正反対に、賑やかな世界を作っていた。



 「?ライナス、顔、青いけど、どうかした?」

 「ん?いや、昨日どっかでぶつけたかな…?」


ある家の中、目を覚ましいたルリが、ライナスの頬にある痣を見て訊いた。

するとライナスは、痣の辺りをさすりながら考えるが、身に覚えがないようで…


辺りを見回す彼の目が、ある人物で止まった。

それは、一生懸命に荷物を詰める、黒髪の少女。


 「マリンお前か!」


彼女に向けて指を差すライナスだが、彼女は何も知らないようで、首を傾げた。


 「とぼけても無駄だ!お前が…」

 「何でマリンあるか!人のせいにするんじゃないあるよ!」


素早くライナスに近づくと、彼に殴りかかる…

本当にマリンの仕業ではなかったようで、ライナスの顔には、痣が増えたのだった…


 「…もしかして…」

その光景を見ていたルリは、隣で頭をかくシュウを見て、恐る恐る訊いてみる。


すると…


 「…ハハッ…」

ぎこちなく笑い、コクリと頷いた。

それを見たルリは、驚いたようで、口に手を持っていったのだった。



驚いた様子のルリを横目で見て、シュウは溜め息を吐く。


昨夜の事、覚えてないようだな…


そう、昨夜、ライナスが無事に戻ってき、安心した4人は、この部屋で眠りに付いた。


そんな中、ふと目を覚ましたシュウ。

彼は寝返りをうつと、再び目を瞑る。

が…


その瞳には、何かが映ったのだ。


それは…


額と額を合わせて眠る、ルリとライナスの姿


近い、近すぎる顔…

ほぼくっついていると言っていい程…


何か異様な気持ちを抱いたシュウは、とっさに飛び起きると、ライナスの顔を蹴り、引き離したのだ。


それから、2人の間に腰を下ろしたシュウは、ライナスの事を見張るように、一睡もしなかったらしい…



お陰で寝不足だよ…


痣の増えた顔を見て笑うルリを見ながら、彼はそんな事を思うのだった。

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