BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
枝に止まる小鳥達は、木が揺れ、驚くと、羽ばたいて行った。
「ゴホッ…ゴホゴホッ…」
強く身をぶつけ、咳き込む3人。
共に怪我はないようで、腰を強くぶつけたのみのようだ。
互いの安否を確認し、立ち上がろうとした時…
「「?」」
彼らの前に、何者かが現れた…
目に入った足下から、ゆっくりと視線を上げていくと…
そこには、こちらを見下ろす、黒い髪の、左の瞳は黄色い色をした男性が立っていた…
「久しぶりだな。」
「お前!」
その男性は、手を挙げて挨拶をするが、ライナスは、彼を見るなり、怒りのこもった瞳を向け、立ち向かおうとするが…
「!?動けない…」
体が何かに縛られているかのように、動かないのだ…
何とか身を自由にしようともがくが、自由にはならない…
もがくライナスとマリンに目もくれず、男性、ローランはルリに目をやる。
「あれからどうだ?」
「…」
ルリに発せられたと思われるその言葉…
だが、彼女は無言で彼の瞳を睨み付けていた…
「実の妹と、父を殺して。」
「!」
その言葉に目を見開くルリ…
茶色の瞳が微かに揺れていた…
その瞳を伏せると、スッと剣の柄へと手を持って行く…
「あぁぁぁあぁー!」
そして、剣を鞘から抜くと、男性に向かって行った…
そんな彼女を見ると、男性は口の端をつり上げて笑う…
「!?待て!ルリ!」
異変に気づいたライナスは、そう叫ぶが…
ルリにはその声が届かなかったようで…
スピードを上げ、ローランに立ち向かっていった…
「俺は関係ないぞ。彼女が勝手にやって来たんだ。」
ルリがある一点を通り越すと、ローランはライナスとマリンに向かって、そう言った。
すると、次の瞬間、ルリとローランを包むように、ドーム型の空間が現れた…
灰色の、その空間…
外からでも、2人の姿を見る事ができた…