BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

部屋を出るなり、彼は壁に背をつけ、もたれかかった…



そして、荒い息を吐く…




 「…ハァ…ハァ………ッ………ハァ………」




何分かそうして呼吸を整えると、胸の辺りをグッと掴みながら、ゆっくりと歩き出した…


フラフラと、おぼつかない足取りで…






彼は知らなかった…


否、彼だけではない…

ここにいる皆も…

長さえも、知らなかった…





助かったと思われたルリが、このまま眠り続ける事になるなんて…



闇の中で、1人で戦う事になるなんて…



誰も想像していなかった…







研究所の周りでは、風達が悲鳴を上げ、鳥達が騒がしく鳴いていた…



晴れ渡った空を、灰色の雲が覆い尽くそうなど、誰が予想していたか…




地を照らす太陽だけが、その真意を知り、顔を曇らせる…






もし、

これから始まる事を知っていたなら、
あの出来事を食い止める事が出来ていたなら、


誰も傷つく事もなく、
仲間を失う事もなかった…




なのに…


神様はこうも、私達に試練を与え続ける…



神様はどうして、私達を嫌うのだろう…



何故神様は………



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