BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
芽吹いたばかりの草花が、穏やかな風を受け身を揺らす。
その中に、静かに腰を下ろす少年の姿が1つ。
漆黒の剣を地に刺し、それに向き合うように胡座をかいて目を瞑る。
緊迫した雰囲気を周りに漂わせ、紺色の髪を風に靡かせる…
「自主練でもしてたか?」
そんな彼に背後から歩み寄る男性、フレイは、爽やかな笑顔を顔に浮かべ彼に話しかける。
声を聞き、少年シュウは、振り返る事なく、閉じていた瞳をゆっくりと開いた。
「1つだけ教えて欲しい事がある。長は、研究所が襲われる事を知っていて、俺をここに連れて来たんですか?」
後ろで足を止めたフレイに問うシュウ。
だが、その問いにフレイは答えようとはしない。
「もしそうだったら、俺は長を許せない……信じられない………
仲間の命を犠牲にしてまで、俺は生きたいなんて思わない……」
何も言わないフレイに、シュウは悲しそうな瞳で言った…
その瞳は、信じる事を知らなかった頃の、あの瞳…
「誰も知らなかった。長さえも知らなかった事だ。こんな事態になるなんてな……」
シュウの問いに答えるように言うと、フレイはどこまでも続く青空を見上げた…
「ここの空は、こんなにも晴れ渡っているのにな……
地上で何が起こっていようと、永遠にその顔色を変える事なく……」
そう呟くと、何かを思い出すかのようにどこか遠い目をする…