BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

闇の侵入から2日後の研究所の一室。

様々な機器が並ぶその部屋の中には、フジとミズハの姿しかなく、電子音の音が静かに流れていた。



一際大きな画面の前に座るフジは、メガネを外し、疲れたのか目を瞑り眉間に指を添える。


自分のデスクに腰掛けるミズハは、何か書かれた資料をマジマジと見つめていた。




そんな中…



 「ミ・ズ・ハーー!」


 「ひゃっ!?」


 「ちょっとメイさんιι」



語尾にハートマークでもつきそうな声をあげ、後ろからミズハに抱きついてきた女性が…

そしてそれを止めようとする男性も…



突然の事に変な声をあげてしまうミズハ。


そんな声にビックリしたフジは、何事かとそちらへと目を向けるが、彼の目は隣の席を見た所で止まった。


彼の隣では、椅子の背を抱くように座り、笑い声をあげながらクルクルと回る女の子の姿が…




 「キャハハッ♪ユウちゃん、この椅子面白いよ♪」


 「……」


楽しそうに笑いながら、奥の席に腰かける男性に話しかけるが、彼は無言…



突然騒がしくなったこの部屋に、フジは何度もまばたきをするのだった。







その部屋の中に、何か考えるように入って来たレオン。


顎に手を添えゆっくりと歩く彼を目にすると、ミズハは見つめていた資料を手に、抱きつく女性の腕から抜け出すと、レオンの元へヒョコヒョコと走り寄る。




 「レオン、見てもらいたい資料があるんですぅ。」


 「ん?何だ?」


近寄ってきたミズハに、優しく接するレオンに、彼女は嬉しそうに微笑むと、手元の資料を渡す。




 「これですぅ。ルリさんの検査結果なんですがぁ、この部分、異様に変化してるんですぅ。」


 「この時間は闇が侵入して来た時……何があったか………」



ミズハに渡された資料に目を通し、難しい表情をする。

彼のそんな表情を見て、ミズハも真似るように顔をしかめた。


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