BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
個室のベッドで眠る赤みがかった髪をした少年ライナス。
彼は苦しそうに眉間に皺を寄せる。
と言うのも、ぐっすり眠っている彼の鼻を小さな指がつまんでいるからだ。
「……ん…………ん”ん……………ん”あぁぁ!」
眉をピクピクと痙攣させ、唸り声を上げて起き上がるライナス。
「キャハハッ♪」
鼻をつまみ彼の顔を覗き込んでいた女の子は、突然目を開けた彼に驚きながらも楽しそうに笑って身軽に椅子から飛び降りた。
寝起きの彼は、身を起こし鼻を擦りながらどこかへ走って行くピンクの髪の女の子を見つめ、何だ?と首を捻る。
「目が覚めたようですね、良かった。」
隣からの声に顔を向けると、そこには柔らかく微笑む黒髪の男性が…
見知らぬ顔に眉を潜めながら頭を下げると…
「目を覚ましたか……だが残念だったな……今すぐ永遠の眠りにつかせてやろう………」
注射器を片手に妖しげに笑うオレンジの髪をした女性が男性の背後から現れた。
窓から差し込む光が注射針に当たり、キラリと不気味に輝く…
「や、止めて下さいメイさんιι」
「放せ!こいつのせいで、こいつのせいで私達の出番はこれで終わりなんだぞ!」
何をしようとしているのか察した男性ダンは、慌てて女性メイを止めようとする。
腕を掴まれたメイは暴れながら叫ぶが、ダンはメイを放そうとはせず、彼女の言葉に疑問符を並べた。
「出番……?よくわかりませんが、落ち着いて下さいよιι」
「落ち着いてられるか!私達はまた、あの寂しくて暗~い、ゴミ箱のような場所に閉じ込められるんだぞ!」
「ゴミ箱で悪かったな。」
泣き真似をしながら悲しそうに訴えていると、部屋の扉付近から声がした。
その声にびくりと身を震わせ振り返ると、先程までの威勢の良さはどこへやら、注射器を背中に隠し額に汗を浮かべるメイ。
そんな彼女を横目で見ながらダンは部屋に入って来た人物へと頭を下げるのだった。