BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

 「ウ、ウル………」


 「あの部屋が散らかっているのは、お前達が片付けないから悪いんだろうが。」


資料を抱えながら部屋に入って来たスカイブルーの髪を団子にした女性、ウルに笑顔を見せるメイだが、その笑顔もどこかぎこちない。




メイの態度を気にかける事なくライナスに歩み寄ると手にしていた資料を棚に置き椅子に腰掛ける。




 「調子はどうだ?」


 「だ、大丈夫っす。」


ウルに見とれていたのか、突然の問いに顔を赤らめながら答えるライナス。



逃げるように彼女から顔を背けると、細い指が彼の手首に触れた。





驚いてウルへと視線を戻すと、彼女は目を細め真剣な面持ちで脈を計っていた。





 「久々に陽に当たって興奮しているんだ。毎日毎日地下の暗い部屋で作業をしているからな。」



脈を計り血圧を確認したりし終えると、大丈夫そうだなと優しく肩を叩き、棚に置いてあった用紙に記録を取る。







 「随分と手荒な魔法の使い方をしたようだな。そのお陰で私達はまた地下へと戻る羽目となった。」



サラサラとペンを動かしながら言うと、今度は注射器をダンに向けるメイへと目を向けた。





 「それで気が立ってるんだ。許してやってはくれないか?」



記録を終え最後に一度ペンで用紙を叩く。


彼女の問いに目を細めると、ニッと八重歯を覗かせ笑うライナス。




 「許すもなにも、怒ってなどねぇし。」


 「そぉか……良かった。」


ライナスの言葉にウルも笑顔を向けると、白衣のポケットに両手を突っ込み扉へと歩き出す。




 「後は薬を飲んで安静にしておけば大丈夫だろう。頼んだぞ、ユウキ。」


 「……」



部屋を出る前に奥でくつろぐように足を組んで椅子に座る男性に言うが、白髪の男性ユウキは無言で本を読み続ける。





ライナスは部屋を後にするウルに頭を下げると、薬の調合をし始めたユウキへと目を向けた。



ユウキは足を組み本を読みながら片手で薬を扱っていて…

どこか危なげな様子である…

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